ネット通販の健康食品・化粧品、効果がないと感じたら 定期購入の場合の相談先と対処法
ネット広告や口コミを見て、健康や美容のためにと健康食品や化粧品をインターネットで購入される方は多いと思います。しかし、「宣伝されていたような効果が感じられない」「期待外れだった」と感じることもあるかもしれません。特に定期購入になっている場合、どのように対応すれば良いのか不安になる方もいらっしゃるでしょう。
このページでは、インターネットで購入した健康食品や化粧品に効果がないと感じた場合に、どのような対応が考えられるか、また、どこに相談できるのかについてご説明します。
「効果がない」と感じた場合の状況整理
まず、購入された健康食品や化粧品について、どのような状況か整理してみましょう。
- どのような広告を見て購入しましたか? (SNS広告、ウェブサイトのバナー、特定の記事など)
- どのような効果が期待できると書かれていましたか? (痩せる、肌のシミが消える、病気が治るなど)
- 購入は一度だけですか?それとも定期購入ですか?
- 契約内容を確認しましたか? (特に定期購入の場合の契約期間、支払い総額、解約条件など)
- 商品の使い方は適切でしたか? (使用量、頻度など)
- どのくらいの期間使用しましたか?
健康食品や化粧品の効果には個人差があります。また、病気の治療や予防を謳うものは医薬品等に該当し、健康食品や化粧品がそのような効果を謳うことは薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)で規制されています。「痩せる」「病気が治る」といった効能を断定的に示す広告は、誇大広告や虚偽広告にあたる可能性があります。
単に「期待していたほどの効果がなかった」という理由だけでは、返品や解約が難しい場合がほとんどです。しかし、広告が著しく誇大である場合や、定期購入であることを隠して販売された場合などは、別の対応が可能になることがあります。
まず確認したいこと・取るべき行動
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契約内容の確認:
- 商品と一緒に届いた書類や、購入時に送られてきたメールを確認し、契約内容をもう一度丁寧に読み返してください。特に定期購入になっているか、解約の条件(いつまでに、どのような方法で連絡すれば良いか、何回購入する必要があるかなど)をしっかりと把握することが重要です。
- 特定商取引法では、通信販売(ネット通販など)において、事業者は販売条件(価格、支払い時期・方法、商品の引渡時期、契約の解除に関する事項など)を広告に表示することが義務付けられています。また、定期購入契約の場合、最終確認画面で契約内容や解約条件などを分かりやすく表示することも義務付けられています。これらの表示が適切になされているか確認してください。
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販売業者への連絡:
- 契約内容に基づき、まずは販売業者に連絡を取り、現在の状況(効果が感じられないこと、解約したいことなど)を伝えてください。
- 電話、メール、業者のウェブサイトにある解約フォームなど、契約で定められた方法で連絡を試みてください。
- 連絡した日付や時間、対応した担当者の名前、話した内容などをメモしておくと良いでしょう。メールや解約フォームの場合は、送信した記録を残しておいてください。
販売業者と連絡が取れない、対応してもらえない場合
「販売業者に電話してもつながらない」「メールを送っても返信がない」「解約を申し出ても応じてもらえない」といった場合は、個人での解決が難しくなります。このような状況になったら、すぐに専門の相談機関に相談してください。
自分で何とかしようと、何度も業者に連絡を試みたり、インターネットで情報収集ばかりしていると、時間だけが過ぎてしまい、適切な対応が遅れてしまう可能性があります。
どこに相談できるのか
消費者トラブルの相談先はいくつかありますが、まず第一に相談を検討していただきたいのは「消費生活センター」です。
消費生活センター
お住まいの自治体等に設置されている行政機関です。消費者と事業者との間のトラブルについて、専門の相談員が解決のためのアドバイスや、事業者とのあっせん(間に入って話し合いを進めること)を行ってくれます。
- どのような相談ができるか: ネット通販での契約トラブル、定期購入に関するトラブル、広告に関する問題など、幅広い消費者トラブルについて相談できます。健康食品や化粧品の「効果がない」といった問題についても、契約内容や販売方法に問題がないか、誇大広告にあたらないかといった観点から相談に乗ってくれます。
- 相談方法: 主に電話での相談が一般的です。全国共通の電話番号「188(いやや!)」にかけると、最寄りの消費生活センターにつながります(一部のIP電話からはつながりません)。
- 受付時間: 平日の日中(多くのセンターは9時~17時頃)が基本ですが、自治体によっては土日祝日や夜間に相談を受け付けている場合もあります。詳細は、お住まいの自治体のウェブサイトや国民生活センターのウェブサイトで確認できます。
- 相談する前に準備しておくと良いこと:
- 契約に関する書類(注文確認メール、納品書、請求書など)
- 商品の広告が表示されていたウェブサイトの画面を印刷したものやスクリーンショット
- 販売業者とのやり取りの記録(電話のメモ、メールなど)
- 商品名や販売業者名、連絡先
- トラブルの経緯をまとめたメモ
国民生活センター
全国の消費生活センター等と連携して、消費者問題に関する情報を収集・分析し、注意喚起を行っている国の機関です。個別のトラブル相談は、原則として上記の「消費者ホットライン188」を通じて、お近くの消費生活センターに案内されます。国民生活センターのウェブサイトでは、様々な消費者トラブルの事例や相談件数、注意喚起情報などが公開されており、ご自身のケースと似た事例がないか調べるのに役立ちます。
法テラス(日本司法支援センター)
経済的に余裕のない方が、法的なトラブルについて無料の法律相談を受けられたり、弁護士や司法書士の費用の立て替えを受けられたりする国の機関です。
- どのような場合に利用を検討するか:
- 消費生活センターに相談したけれど解決が難しい場合
- 業者との交渉が複雑で、法的な手続きが必要になりそうな場合
- 多額の被害額になっている場合
- 相談方法: まずは電話で「法テラス・サポートダイヤル」に問い合わせてみましょう。収入や資産の条件を満たせば、弁護士や司法書士による無料の法律相談を紹介してもらえます。
- 注意点: 法テラスはあくまで法的な支援が必要な場合の窓口です。「効果がない」といったケースで直ちに利用できるわけではなく、契約内容や販売方法に法的な問題がある可能性が高い場合に有効な選択肢となります。
相談する時のポイント
消費生活センターなどに電話で相談する際は、落ち着いて以下の点を伝えましょう。
- ご自身の状況: 氏名、年齢、お住まいの地域など(匿名での相談も可能ですが、具体的なアドバイスには正確な情報が必要です)
- トラブルの内容:
- いつ、どのような商品(健康食品か化粧品か、商品名)を、どこで(ウェブサイト名、広告の種類など)購入したか
- どのような広告を見て、どのような効果を期待して購入したか
- 契約は定期購入か、どのような条件か
- 現在どのような状況か(効果がないと感じる、解約したいができない、業者と連絡が取れないなど)
- これまでに業者にどのように連絡を取り、どのようなやり取りをしたか
- 相談したいこと: 今後の対応についてどのようにすれば良いか、解約できる可能性があるかなど
専門の相談員が、あなたの状況を丁寧に聞き取り、解決のためのアドバイスをしてくれます。一人で悩まず、まずは電話をかけてみてください。
同様のトラブルに巻き込まれないために
今後、同様のトラブルに遭わないために、以下の点に注意しましょう。
- 広告を鵜呑みにしない: 「飲むだけで痩せる」「塗るだけでシミが消える」「病気が完治する」といった、効果を断定したり、医学的な根拠が不明確な過大な表現の広告には注意が必要です。あくまで個人の感想であるかのように見せかけた広告にも注意してください。
- 契約内容をしっかり確認する: 購入ボタンを押す前に、商品の価格、送料、支払い方法、そして最も重要な定期購入の有無、その場合の契約期間、総額、解約条件を必ず確認してください。特に、初回が安価でも、2回目以降が高額な定期購入になっていないか、解約できるのは何回目以降か、解約は電話だけか、連絡期間はいつまでか、などを細部まで確認しましょう。最終確認画面の表示をしっかり読むことが大切です。
- 信頼できる情報源を見分ける: インターネット上の情報は玉石混淆です。個人のブログやアフィリエイトサイトだけでなく、販売業者の公式サイト、公的な機関(国民生活センターや厚生労働省など)の情報も参考にし、多角的に判断することが重要です。
- 特定商取引法に基づく表示を確認する: 通信販売のウェブサイトには、販売業者の名称、住所、電話番号、代表者名などの表示が義務付けられています。これらの情報がしっかりと記載されているか確認しましょう。記載がない、または不十分な場合は注意が必要です。
まとめ
インターネットで購入した健康食品や化粧品に「効果がない」と感じた場合、すぐに諦める必要はありません。特に定期購入で契約内容に問題があったり、広告が著しく誇大であったりする場合は、解決できる可能性があります。
一人で悩まず、まずは消費生活センターなどの専門機関に相談することが、トラブル解決への第一歩です。相談する際は、契約書類や広告、業者とのやり取りの記録などを手元に準備しておくとスムーズです。
これらの情報を参考に、冷静に状況を整理し、適切な窓口に相談することで、問題解決の糸口が見つかるはずです。