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訪問販売で不要なものを契約してしまったら?クーリング・オフと相談先

Tags: 訪問販売, クーリング・オフ, 消費者トラブル, 相談窓口, 消費生活センター

訪問販売による契約トラブルは、身近に起こりうる消費者トラブルの一つです。自宅に突然業者が訪ねてきたり、電話で勧誘された後で自宅を訪問されたりして、断り切れずに契約してしまい、後で後悔するというケースが多く見られます。

特に、最初は簡単な点検やアンケートのはずが、いつの間にか高額な商品やサービスの契約を勧められる、という手口もあります。一度業者を家に入れてしまうと、長時間にわたって勧誘されたり、強引に契約を迫られたりして、断るのが難しくなってしまうことも少なくありません。

もし、訪問販売で契約してしまった商品やサービスが不要なものであったり、契約内容に納得がいかなかったりした場合でも、落ち着いて対処する方法があります。

訪問販売で契約してしまった場合に知っておきたい「クーリング・オフ」制度

訪問販売による契約には、「クーリング・オフ」という制度が適用される場合があります。クーリング・オフとは、契約した後でも、一定の期間内であれば一方的に契約を解除できる制度です。

この制度は、不意打ち性の高い訪問販売のような取引において、消費者が冷静に考える時間を与え、契約を解除できるようにすることで、消費者を保護することを目的としています。

クーリング・オフができる主な取引には、訪問販売のほか、電話勧誘販売、特定継続的役務提供(エステ、語学教室など)、連鎖販売取引(マルチ商法)などがあります。

クーリング・オフをするための期間と方法

訪問販売の場合、原則として契約書面を受け取った日を含めて8日間以内であれば、クーリング・オフを行うことができます。この期間内であれば、理由を問わず無条件で契約を解除できます。

クーリング・オフを行う際は、必ず書面、または電子メールなどの電磁的記録で行う必要があります。口頭で伝えただけでは不十分ですので注意が必要です。

書面で通知する場合:

書面で行う場合は、「はがき」や「封書」が一般的です。契約日、商品名、契約金額、契約解除の意思表示などを記載します。契約書に記載されている販売会社の住所宛てに送付します。

書面には、以下の内容を含めると良いでしょう。


(はがきの書き方例)

(表面) 〒XXX-XXXX 〇〇県〇〇市〇〇区〇〇町X丁目X番X号 (契約書記載の販売会社名)御中

(裏面) 契約解除通知書

契約年月日:令和X年X月X日 商品名または役務名:〇〇(契約した商品・サービスの名前) 契約金額:〇〇円

私は、上記の契約を解除します。 つきましては、契約金の返還と、商品(または関連商品、権利)の引き取りをお願いいたします。

通知年月日:令和X年X月X日

購入者氏名:〇〇 〇〇 印 購入者住所:〒XXX-XXXX 〇〇県〇〇市〇〇区〇〇町X丁目X番X号 購入者電話番号:XXX-XXXX-XXXX


この書面は、必ずコピー(両面)を取り、控えとして手元に保管しておきましょう。また、郵便局の窓口から「特定記録」または「簡易書留」として送付することをお勧めします。こうすることで、いつ、誰に、どのような内容の書面を送ったのかを記録に残すことができ、「送っていない」といった業者とのトラブルを防ぐことができます。

電子メールなどで通知する場合:

業者が同意している場合は、電子メールやファックスなどの電磁的記録でも行うことができます。この場合も、送受信記録が残るようにすることが重要です。メールであれば送信済みメールを保存し、ファックスであれば送信確認のできるものを使用します。

いずれの方法でも、クーリング・オフの通知は期間内に相手方に到達したことが重要です。期間最終日に送付する場合は、当日中に相手方に届く方法(例えば、記録が残る電子的な方法や、間に合うように配達される郵便サービス)を選ぶ必要があります。

クーリング・オフの効果

クーリング・オフが有効に行われると、契約は最初からなかったことになります。

クーリング・オフは、消費者に認められた強い権利です。期間内であればためらわずに手続きを行いましょう。

クーリング・オフ期間が過ぎてしまった場合や、対象外だった場合

契約書面を受け取ってから8日間を過ぎてしまった場合や、クーリング・オフ制度の対象とならない取引であった場合でも、諦める必要はありません。

悪質な勧誘行為があった場合には、消費者契約法に基づき契約を取り消したり、無効を主張したりできる可能性があります。例えば、「絶対に儲かる」「病気が治る」など事実と違うことを告げられた(不実告知)り、消費者が「帰りなさい」と言っても業者が居座り続けて契約させられた(退去妨害)りした場合などです。

このような状況でどうすれば良いか判断に迷う場合は、一人で悩まずに専門機関に相談することが大切です。

どこに相談すれば良いのか?消費者トラブルの相談窓口

消費者トラブルに関する相談先はいくつかありますが、まずは公的な相談窓口である「消費生活センター」や「国民生活センター」に相談することをお勧めします。

1. 消費生活センター・国民生活センター

消費生活センターは、商品やサービスに関する事業者とのトラブルについて、公正な立場で相談に応じ、解決のための助言やあっせん(話し合いの仲介)を行ってくれる機関です。全国各地に設置されています。

消費生活センターの担当者は、様々な消費者トラブルの知識を持っていますので、あなたの状況を聞きながら、法的な観点やこれまでの事例に基づいて、適切なアドバイスをしてくれます。「こんなこと相談しても良いのか」と躊躇せず、まずは電話をかけてみましょう。

2. 法テラス(日本司法支援センター)

法テラスは、法的トラブルを解決するための情報提供や、経済的に余裕がない方が弁護士や司法書士の費用を立て替える制度(民事法律扶助)を利用するための案内などを行っている公的な機関です。

法テラスでは、あなたの状況を聞き取り、解決に役立つ法制度や、利用できる弁護士・司法書士を紹介してくれます。無料相談を利用できるかの確認も含め、まずは問合せてみることをお勧めします。

その他、弁護士会や司法書士会でも法律相談を受け付けている場合があります。

訪問販売トラブルに遭わないために

まとめ

訪問販売によるトラブルに巻き込まれてしまった場合でも、クーリング・オフ制度や消費者契約法など、消費者を守るための制度があります。諦めずに、まずは状況を整理し、消費生活センターなどの公的な相談窓口に連絡を取ってみてください。専門家のアドバイスを受けることで、解決の糸口が見つかるはずです。相談は決して恥ずかしいことではありません。「どこに相談すればいいか分からない」という方も、まずは「188」に電話してみましょう。