無料イベントや食事に誘われて高額商品を契約?「催眠商法」「SF商法」の手口と対処法、相談先
「無料のイベントにご招待します」「健康講座の後、無料で食事ができます」など、無料という言葉に惹かれて参加したイベントや会場で、思わず高額な商品やサービスを契約してしまい、困っているというご相談が寄せられています。
これは「催眠商法」や「SF商法」と呼ばれる典型的な消費者トラブルです。特定商取引法では、このような会場等での販売を「特定継続的役務提供」や「訪問販売」(営業所等以外の場所での契約)として規制し、クーリング・オフの対象としています。
この記事では、このような手口や、もし契約してしまった場合の対処法、そしてどこに相談すれば良いのかを分かりやすくご説明します。
「催眠商法」「SF商法」とはどのような手口ですか?
催眠商法やSF商法は、閉め切った会場に人を集め、巧妙な話術や雰囲気を操り、冷静な判断ができない状態にして高額な商品を売りつける悪質な商法です。
典型的な手口
- 無料や安価な誘い: 「健康講座」「無料体験会」「食事会」などと称して、無料で何かを提供するかのように誘い、会場に集めます。
- 閉鎖的な会場: 参加者を特定の会場(公民館や雑居ビルの一室など)に集め、外部との連絡が取りにくい状況を作ります。
- 雰囲気を盛り上げる: 最初に日用品などの安価な商品を無料で配ったり、非常に安い値段で提供したりして、会場の雰囲気を盛り上げ、「得をした」「次は良い商品があるかもしれない」という気持ちにさせます。販売員が参加者を褒めたり、親しげに話しかけたりすることもあります。
- 冷静な判断を奪う: 拍手や手拍子を促したり、大声を出させたりするなど、集団行動で気分を高揚させ、冷静に物事を考える余裕をなくさせます。特定の商品を持ち上げて効果を強調し、今買わないと損だと強く勧めます。
- 高額商品の販売: 最終的に、布団、健康食品、浄水器、健康器具などの高額な商品を売りつけます。断りにくい雰囲気の中で、思わず契約書にサインしてしまうケースが多く見られます。
このような状況では、その場の雰囲気に流されたり、「みんなが買っているから安心だろう」と思ったりしてしまいがちですが、一旦会場を出て冷静に考えると「なぜあんなものを買ってしまったのだろう」と後悔することがほとんどです。
もし会場で契約してしまったらどうすれば良いですか?
もし、無料イベントで高額な商品を契約してしまっても、決して一人で悩まず、落ち着いて対処することが大切です。
- 契約書などの書類を確認する まずは契約書やパンフレット、領収書など、業者から渡された書類をすべて確認し、大切に保管してください。どのような商品をいくらで契約したのか、業者の名前や連絡先が記載されているかなどを確認します。
- クーリング・オフを検討する
会場での販売(店舗以外での契約)は、特定商取引法の「訪問販売」等に該当する場合が多く、原則としてクーリング・オフの対象となります。クーリング・オフとは、契約書面を受け取った日を含めて8日間であれば、一方的に契約を解除できる制度です。
- クーリング・オフの方法:
- ハガキや書面で行うのが一般的です。
- 契約年月日、商品名、契約金額、業者名、クーリング・オフをすること、契約解除を申し出る年月日、自分の住所氏名を記載します。
- 念のため、ハガキや書面のコピーを取り、特定記録郵便や簡易書留など、送った記録が残る方法で送ることをお勧めします。クレジットカード払いの場合には、クレジットカード会社にも通知するとより確実です。
- クーリング・オフの方法:
- 8日間を過ぎてしまった場合 クーリング・オフ期間の8日間を過ぎてしまった場合でも、あきらめないでください。契約内容に不備があった場合や、業者の説明に問題があった場合など、消費者契約法などの法律に基づいて契約を取り消したり、無効を主張したりできる可能性があります。まずは専門の相談窓口に相談することが重要です。
悪質な販売手口にだまされないためのポイント
このようなトラブルに巻き込まれないためには、日頃から注意しておくことが大切です。
- 「無料」や「ただ」の誘いに警戒する: 「無料」や「格安」を強調する誘いには、何か裏があるかもしれないと疑う姿勢を持つことが重要です。安易に誘いに乗らないようにしましょう。
- 安易に個人情報を教えない: 氏名、住所、電話番号などの個人情報を教える際は慎重になりましょう。一度情報が渡ると、別の勧誘に利用される可能性があります。
- その場で契約しない: 会場の雰囲気に流されても、「今日決めないと買えなくなる」「特別な価格は今日だけ」などと言われても、その場で契約書にサインすることは避けてください。「家に持ち帰って検討します」「家族と相談します」と伝え、一旦会場を出ることが大切です。
- 疑問を感じたら立ち去る: 会場の雰囲気や販売方法に少しでも不審な点や居心地の悪さを感じたら、早めに立ち去りましょう。「帰ります」と伝えれば、引き止めることは法律で禁じられています。
- 家族や友人に相談する: 不審な誘いを受けた場合や、少しでも不安を感じることがあったら、一人で判断せず、信頼できる家族や友人に相談することが、トラブルを未然に防ぐために役立ちます。
困った時は一人で悩まず相談しましょう
もし、このようなトラブルに巻き込まれてしまった場合、一人で解決しようとせず、必ず専門の相談機関に相談してください。
消費生活センター・国民生活センター
- 消費者トラブルに関する専門知識を持った相談員が、解決のためのアドバイスや、業者とのあっせん(仲介)を行ってくれます。
- 最寄りの消費生活センターにつながる全国共通の電話番号は「188番」(いやや)です。お住まいの地域の窓口につながります。
- 相談は無料です。電話で今の状況を詳しく伝えてください。
- 相談に行く前に、契約書や業者から渡された書類、やり取りのメモなど、関係する資料を準備しておくと相談がスムーズに進みます。
法テラス(日本司法支援センター)
- 経済的に余裕がない方が、法的トラブルについて無料で情報提供を受けられたり、弁護士や司法書士による無料相談を受けられたりする機関です。
- 消費者トラブルの中には、クーリング・オフ期間を過ぎてしまったり、業者との交渉が難航したりして、法的な対応が必要になるケースがあります。
- 収入等の利用条件がありますが、条件を満たせば弁護士や司法書士に無料で相談できます。
- お近くの法テラスや、法テラスのコールセンター(電話番号例:0570-078374 受付時間:平日9時~21時、土曜9時~17時 ※年末年始除く)にご連絡ください。
どちらの相談窓口も、あなたの状況に応じて、次に取るべき具体的な行動や、利用できる制度について丁寧に教えてくれます。相談することによって、解決への道が開けることがほとんどです。
まとめ
無料のイベントや食事に誘われて会場で思わず高額な商品を契約してしまった場合でも、クーリング・オフ制度や消費者に関する法律で守られています。大切なのは、一人で抱え込まず、落ち着いて行動すること、そしてできるだけ早く信頼できる相談窓口に連絡することです。
不安な気持ちを抱えたままにせず、まずは消費生活センターや法テラスに電話してみてください。専門家があなたの立場に立ってサポートしてくれます。