ネット広告の「お試し」から高額契約に?定期購入トラブルの相談先と対処法
インターネット広告の「お試し」「初回限定」にご用心
インターネットを見ていると、「初回限定価格」や「お試し価格」といった魅力的な言葉で紹介されている商品を目にすることがあります。化粧品や健康食品などに多く、「たった〇円で試せるなら」と思って申し込んだら、実はこれが定期購入の契約で、何回か継続しないと解約できなかったり、2回目以降が非常に高額だったりして困っている、という相談が増えています。
業者に連絡しても電話がつながらない、メールを送っても返信がない、ウェブサイトに解約方法が書いていないなど、どうすれば良いか分からず、一人で抱え込んでしまう方も少なくありません。
このような「お試し」や「初回限定」をうたった定期購入トラブルに巻き込まれてしまった場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。このページでは、具体的な手口やご自身でできること、そして頼りになる相談先について詳しくご紹介します。
どんな手口がある?トラブルの具体例
インターネット広告の「お試し」「初回限定」商法では、次のような手口が見られます。
- 定期購入であることが分かりにくい表示:
- 目立つ場所に「初回限定〇円」とだけ大きく表示し、定期購入であることや総額、解約条件などはページのずっと下の方に小さく書かれている、あるいはほとんど見えないようになっている。
- 最終確認画面で、定期購入であることや解約条件が分かりにくく表示されている、あるいはチェックボックスがあらかじめチェックされている。
- 〇回の継続購入が条件になっている(回数縛り):
- 「初回特別価格で試せる代わりに、最低でも3回や4回は購入を続ける必要がある」といった条件が提示されているが、その説明が不十分、あるいは分かりにくい。
- 回数縛りの条件が満たされていないと、途中で解約しようとしても受け付けてもらえない。
- 解約方法が非常に分かりにくい、またはできない:
- 解約は電話でのみ受け付けているが、電話番号が見つからない、あるいは電話をかけてもいつも話し中か誰も出ない。
- メールでの連絡先がない、またはメールを送っても返信がなく、解約の連絡ができない。
- ウェブサイト上での解約手続きが複雑で分からない、またはエラーが出て進めない。
- 事業者と連絡が取れなくなる:
- 解約を申し出ようとしたら、突然業者と連絡が取れなくなり、商品だけが一方的に送られてきて代金を請求される。
このような手口に遭うと、不安になったり、業者とのやり取りに疲れてしまったりして、諦めてしまう方もいらっしゃいます。しかし、泣き寝入りする必要はありません。法律によって消費者は守られています。
トラブル解決のために、まずご自身でできること
業者との連絡がうまくいかない場合でも、まずはご自身の状況を整理し、記録を残すことが大切です。
- 契約内容を確認する:
- 注文時の画面、確認メール、商品に同梱されていた書類などを改めて確認しましょう。
- 「定期購入であること」「購入回数の条件(回数縛り)」「解約方法」「解約の連絡先」「代金の総額」などがどのように表示されていたか、読み取れる範囲で確認してください。特に、小さく書かれている注意書きなども見落とさないようにしましょう。
- 事業者とのやり取りを記録する:
- 事業者との間で、電話をした日時、相手の担当者名(分かれば)、話した内容(解約したいと伝えたか、相手の反応など)をメモしておきましょう。
- メールを送った場合は、そのメールの送信記録と内容を保存しておきましょう。返信がない場合も、いつメールを送ったのかが重要です。
- 書面で連絡した場合(特定記録郵便や内容証明郵便など)は、その控えや送付記録を保管しておきましょう。
- 契約に関する証拠を集める:
- 注文時のウェブサイトの画面(定期購入であることが分かりにくい表示だった部分など)、確認メール、事業者から送られてきた書類、商品が入っていた箱、広告の画面など、契約内容や業者の表示方法が分かるものは全て保管しておきましょう。スクリーンショット機能を使うか、画面を印刷しておくと良いでしょう。
これらの記録や証拠は、後で相談機関に相談する際に必ず必要になります。面倒に感じるかもしれませんが、冷静に、客観的な事実を残しておくことが、問題解決への第一歩となります。
頼りになる相談窓口を知る
一人で業者と交渉するのが難しい、あるいは連絡が取れないといった場合は、専門の相談窓口に相談することをお勧めします。特に頼りになるのは「消費生活センター」です。
消費生活センター・国民生活センター
全国の消費生活センターや、その連携機関である国民生活センターは、消費者と事業者との間のトラブルについて、専門の相談員がアドバイスや、必要に応じて事業者との間に入ってあっせん(話し合いによる解決の支援)を行ってくれる公的な機関です。
- どんな相談ができる?
- 商品やサービスに関する様々な消費者トラブルについて相談できます。
- 定期購入トラブルに関する相談も多く受け付けています。
- クーリング・オフや契約解除の方法、業者との交渉方法などについて具体的なアドバイスがもらえます。
- 悪質な業者に対しては、行政指導などが行われることもあります。
- どうやって相談する?
- まずは電話で相談するのが一般的です。
- お住まいの地域の消費生活センターの電話番号は、インターネットで「〇〇市(お住まいの地域) 消費生活センター」と検索するか、全国共通の電話番号「188(いやや)」にかけると、最寄りの消費生活センターにつながります。
- 「188」に電話をかけると、音声ガイダンスが流れます。お住まいの郵便番号などを入力することで、最寄りの消費生活センターを案内してもらえます。ガイダンスに従って操作してください。
- 受付時間は平日が中心ですが、土日も対応しているセンターもあります。国民生活センターのウェブサイトなどで確認できます。
- 相談する前に準備しておくと良いこと
- トラブルの状況を時系列で整理したメモ(いつ、何を注文したか、いつ商品が届いたか、いつ解約を申し出たか、業者の反応は、など)
- 契約に関する証拠(注文時の画面のスクリーンショット、確認メール、商品の箱や書類、事業者とのやり取りの記録など)
- ご自身の連絡先
消費生活センターへの相談は原則として無料です。専門の相談員が親身になって話を聞いてくれますので、まずは気軽に電話をかけてみてください。「電話をするのが怖い」「どう説明すれば良いか分からない」といった不安があるかもしれませんが、相談員の方はトラブルに慣れていますので、落ち着いて状況を伝えれば大丈夫です。
法テラス(日本司法支援センター)
法テラスは、国が設立した「法的トラブル解決の総合案内所」です。
- どんな相談ができる?
- 消費者トラブルに限らず、様々な法的トラブルについて情報提供を受けられます。
- 無料で法制度に関する情報を提供してもらえたり、弁護士や司法書士といった専門家を紹介してもらえたりします。
- 経済的に困難な状況にある方は、弁護士や司法書士による無料法律相談を受けられたり、費用の立替え制度を利用できたりすることもあります。
- どうやって相談する?
- 法テラスのウェブサイトで情報検索するか、電話(0570-078374)または各地の事務所窓口で相談できます。
- 定期購入トラブルの場合、まずは消費生活センターに相談するのが一般的ですが、解決が難しい場合や、より専門的な法律相談が必要な場合に法テラスに相談することも考えられます。
その他にも、弁護士会や司法書士会でも、消費者トラブルに関する相談を受け付けている場合があります。
トラブルに遭わないためにできること
同様のトラブルを繰り返さないために、今後気をつけたい点をご紹介します。
- 広告を鵜呑みにしない:
- 「初回〇円」「実質無料」といった極端に安い広告には注意が必要です。定期購入が条件になっていないか、よく確認しましょう。
- 商品の効果を保証するような誇大な表現や、個人の体験談ばかりが載っている広告は慎重に判断しましょう。
- 契約内容を隅々まで確認する:
- 購入ボタンを押す前に、必ず「最終確認画面」や「利用規約」をしっかり読みましょう。特に「定期購入」「解約」「返品」「回数縛り」といった言葉がないか注意深く探してください。
- スマートフォンなどの小さな画面では見落としがちです。できる限り大きな画面で確認するか、重要な部分は拡大して見るようにしましょう。
- 特定商取引法に基づく表示を確認する:
- 通信販売のウェブサイトには、事業者名、住所、電話番号、代表者名などが記載された「特定商取引法に基づく表示」のページのリンクが必ずあります。この情報がしっかり記載されているか確認しましょう。情報がなかったり、電話番号が携帯電話だったりする場合は注意が必要です。
- 安易に個人情報を入力しない:
- 怪しいと感じたら、氏名や住所、クレジットカード情報などの個人情報を入力しないようにしましょう。
インターネットでの買い物は便利ですが、トラブルも存在します。少しでも不安を感じたら、一度立ち止まって冷静に判断することが大切です。
まとめ:一人で悩まず、まずは相談を
「ネット広告を見てうっかり申し込んだら、高額な定期購入だった」「解約したいのに業者と連絡が取れない」といったトラブルは、誰にでも起こり得ることです。ご自身だけを責める必要はありません。
大切なのは、一人で悩みを抱え込まず、できるだけ早く専門の相談窓口に相談することです。特に消費生活センターは、このような消費者トラブルの解決に長けています。まずは「188」に電話をかけてみてください。
勇気を出して一歩踏み出すことが、トラブル解決への道を開きます。集めた情報や記録を持って、専門家のアドバイスを求めてみましょう。