ネット広告やサイトで「あれ?怪しいかも」と感じたら 個人情報を渡す前に確認することと相談先
ネットで見かけた「うまい話」や「気になる情報」、個人情報を入力する前に立ち止まりましょう
インターネットを見ていると、「期間限定」「特別価格」「簡単に儲かる」といった魅力的な言葉が並ぶ広告やサイトに出会うことがあるかもしれません。もしかすると、以前利用した覚えのないサイトから「当選しました」「無料登録完了」といったメールやSMSが届くこともあるかもしれません。
このような情報に触れた際、「これは本当かしら」「ちょっと怪しいな」と感じることはありませんか。特に、個人情報(氏名、住所、電話番号、生年月日、クレジットカード情報など)の入力を求められたとき、不安になる方もいらっしゃるでしょう。
インターネットの世界には、残念ながら消費者をだまそうとする悪質な手口がたくさん存在します。一度大切な個人情報を渡してしまうと、取り戻すことは難しく、別のトラブルに巻き込まれる危険性も高まります。
この記事では、ネット広告やサイトを見て「あれ?怪しいかも」と感じたときに、ご自身の情報を守るために確認しておきたいことと、不安な時に安心して相談できる窓口についてご説明します。
「怪しいかも」と感じるポイント:見分け方のヒント
悪質な広告やサイトには、いくつかの共通する特徴があります。全てに当てはまるわけではありませんが、以下のような点に気づいたら、すぐに個人情報を入力せず、一度立ち止まって冷静に考えてみることが大切です。
- 日本語の表現がおかしい、不自然である: 明らかにおかしな言い回しや誤字脱字が多い場合、注意が必要です。
- 連絡先や会社情報が不明確、あるいは存在しない: 会社の名称や住所、電話番号の記載がない、あるいは検索しても実在する情報が見つからない場合は危険です。特定商取引法では、通信販売を行う事業者は氏名や名称、住所、電話番号などを表示する義務があります。
- 「必ず儲かる」「絶対にもうけられます」など、都合の良いことばかり強調している: 投資や副業などで、リスクを一切説明せずに利益だけを強調する話は疑ってかかるべきです。
- 「今すぐ」「今日限り」など、契約や購入を急かしてくる: 冷静に判断する時間を与えない手口です。
- 正規の有名な企業のサイトとよく似ているが、少しURLが違う: 有名な通販サイトや金融機関を装った偽サイトの可能性があります。URLをよく確認しましょう。
- サイトのアドレスが「https」で始まっていない、鍵マークがない: アドレスバーに鍵マークがあるか、「https」で始まっているかは、通信が暗号化されているかどうかの目安の一つです(ただし、これがあるからといって安全が保証されるわけではありません)。
- 利用規約やプライバシーポリシーが見当たらない、あるいは非常に分かりにくい: 重要な情報が隠されている可能性があります。
安易に個人情報を入力・提供することのリスク
「申し込むだけなら」「資料請求だけなら」と軽い気持ちで個人情報を入力してしまうのは危険です。入力した情報が悪用されることで、以下のようなトラブルにつながる可能性があります。
- 迷惑メールやSMSが大量に届くようになる
- 身に覚えのない請求が届く
- 登録した情報が悪用され、知らないうちに他の契約をさせられる
- 個人情報が第三者に売買される
- 氏名や住所を使ったフィッシング詐欺の標的になる
特に、氏名、住所、電話番号、生年月日といった情報は、他の情報と組み合わせることで、悪用されるリスクが高まります。クレジットカード情報や銀行口座情報、ID、パスワードの入力は、最も慎重になるべきです。
「怪しいかも」と感じた時に、まず確認したいこと
不安な気持ちになったら、以下のことを試してみてください。
- 表示されている内容を鵜呑みにしない: 「うまい話すぎる」「急かされている」と感じたら、冷静になりましょう。
- サイトのURLをよく確認する: 有名なサイトの偽物ではないか、いつも利用しているサイトのURLと一文字でも違わないか確認します。
- 運営者情報を探す: 会社の名称、住所、電話番号などがサイトのどこかに表示されていないか探します。見つからない場合や、あいまいな記載しかない場合は、そのサイトの利用は避けるべきです。
- 運営者情報を検索する: 見つかった会社名や電話番号をインターネットで検索してみます。実在する会社か、過去にトラブルの事例がないかなどを調べます。ただし、ネット上の情報が全て正しいとは限らない点に注意が必要です。公式サイトや公的な情報源(企業の登記情報など)を参考にしましょう。
- 他の利用者の評判を探す: そのサイトやサービスを利用した人の口コミや評価を検索します。ただし、これも良い評価ばかり、あるいは悪い評価ばかりの場合は、サクラや業者が書き込んでいる可能性もゼロではありません。複数の情報源を参考に、慎重に判断してください。
- 安易にクリックしたり、情報を入力したりしない: 少しでも不安を感じたら、そこで操作をやめるのが一番の安全策です。
不安な気持ちを一人で抱え込まず、専門の相談窓口に頼りましょう
「怪しいな」「もしかしてだまされそうになっているのでは」と感じた時、あるいは既に個人情報を入力してしまって不安な時、一人で悩まずに専門の機関に相談することが非常に重要です。自分で判断したり、業者と直接やり取りしようとしたりすると、かえって状況が悪化する可能性があります。
安心して相談できる窓口としては、お住まいの自治体の消費生活センターや、国の機関である国民生活センターがあります。
消費生活センター・国民生活センターへの相談
消費生活センターは、商品やサービスに関する消費者トラブルについて、公正な立場で専門的なアドバイスや情報提供を行ってくれます。詐欺の可能性や、悪質な手口かどうか判断に迷うときにも相談できます。必要に応じて、事業者とのあっせん(間に入って話し合いを調整すること)なども行ってくれる場合があります。
-
相談できること:
- ネット広告やサイトが怪しいと感じるが、どうすれば良いか分からない。
- 個人情報を入力してしまったが、不安だ。
- 身に覚えのない請求が来た。
- 契約内容に納得できない、解約したい。
- その他、様々な消費者トラブル。
-
相談方法: まずは、全国共通の電話番号「188(いやや!)」にご連絡ください。この番号にかけると、お住まいの地域の消費生活センターにつながります。土日祝日もつながる場合がありますが、受付時間はセンターによって異なりますので、ガイダンスをご確認ください。
-
相談前に準備しておくと良いこと:
- いつ、どのような広告やサイトを見たか(見た日付、場所など)。
- サイトの名称やURL(アドレス)、可能であれば画面を写真やスクリーンショットで記録しておく。
- やり取りしたメールやSMSの内容。
- 相手の業者名、連絡先など、分かる情報全てをメモにまとめておく。
- これまでの経緯を時系列で整理しておく。
電話で相談する際は、落ち着いて、状況を正確に伝えるように心がけてください。「うまく説明できないかも」と心配する必要はありません。相談員の方が話を丁寧に聞いてくれます。
その他の相談窓口
詐欺の可能性が非常に高い、あるいは既に金銭的な被害が発生している場合は、警察のサイバー犯罪相談窓口なども選択肢に入ります。どこに相談すべきか迷う場合は、まずは消費生活センターに相談してみるのが良いでしょう。
法的な問題が複雑に絡む場合や、被害額が大きい場合などには、法テラス(日本司法支援センター)に相談することも考えられます。法テラスでは、弁護士や司法書士といった専門家による相談窓子の紹介や、経済的に余裕がない方向けの無料法律相談、弁護士費用等の立替え制度などを行っています。消費生活センターなどから、法テラスへの相談を勧められる場合もあります。
まとめ:一人で抱え込まず、まずは相談
インターネットは便利なものですが、危険も潜んでいます。「怪しいかも」と感じるご自身の感覚は、大切な危険信号です。安易に個人情報を入力したり、業者と直接やり取りしたりする前に、まずは信頼できる相談窓口に連絡してください。
特に、50代後半の読者の皆様は、インターネットのサービスが日進月歩で変化する中で、新しい手口に遭遇することも少なくないでしょう。不安を感じた時は、ためらわずに消費生活センターの「188」に電話してみてください。専門家のアドバイスを受けることが、トラブルの解決や未然防止につながります。
自分だけで解決しようとせず、公的な相談機関の力を借りることが、一番の安心への道です。