突然の電話やSMSで身に覚えのないお金を請求されたらどうすればいい?怪しい請求の手口と相談先
突然の電話やSMS、それはもしかしたら「架空請求詐欺」かもしれません
スマートフォンや固定電話に、突然「未払いの利用料金があります」「契約違反です」といった内容の連絡が入る。それが、身に覚えのない内容であったり、高額な金額を請求されたりする場合、それは「架空請求詐欺」である可能性が非常に高いです。
特に近年、SMS(ショートメッセージサービス)や自動音声の電話を使って「最終通知です」「法的手続きに移行します」などと不安を煽り、巧みに金銭をだまし取ろうとする手口が増えています。
このような突然の連絡に驚き、どう対応すれば良いか分からず、不安を感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。しかし、慌てて指示に従う前に、まずは冷静になることが大切です。
なぜ、身に覚えのない請求が来るのでしょうか?
架空請求は、あなたが過去に利用したことのあるサービスを装ったり、全く関係のないサービス名を騙ったりして行われます。業者は、あなたが不安や焦りを感じることで、冷静な判断ができなくなることを狙っています。
「利用した覚えはないけど、もしかしたら子どもが勝手に使ったのでは…」「以前登録したサービスかもしれない…」などと考えさせて、連絡を取らせようとします。一度連絡をしてしまうと、相手はあの手この手を使ってあなたからお金を引き出そうとしてきます。
怪しい電話やSMSの手口の例
- 「有料サイトの利用料金が未払いです。本日中に連絡しないと法的措置を取ります。」
- 「NTTファイナンスです。インターネットの未納料金があります。オペレーターに繋ぐには○番を押してください。」(公的機関や有名企業を騙る)
- 「あなたの個人情報が漏れています。対策のために手数料が必要です。」
- 「宝くじが当たりました。当選金を受け取るために手続き費用を振り込んでください。」
- 「荷物のお届けですが、住所が不明です。確認のためSMSのリンクを開いてください。」(フィッシング詐欺に誘導)
これらの連絡に共通するのは、突然であり、身に覚えがなく、不安を煽るような内容である点です。
もし、怪しい電話やSMSが来たら、どうすればいいのでしょうか?
最も重要な対処法は、「相手に絶対に連絡しないこと」です。
- 電話には出ない、出てもすぐに切る:
- 知らない番号からの電話には出ないのが一番安全です。
- もし出てしまっても、「身に覚えがありません」と伝え、すぐに電話を切りましょう。相手が強引に話を進めようとしても、絶対に個人情報やお金の話はしないでください。
- SMSに返信しない、記載された電話番号にかけない、リンクをクリックしない:
- SMSで請求が来ても、絶対に返信したり、記載されている電話番号に電話をかけたりしないでください。返信すると、あなたの電話番号が使われていることを相手に知らせてしまい、更なる請求や連絡が来る可能性があります。
- SMSに記載されたリンク(URL)も絶対にクリックしないでください。偽サイトに誘導され、個人情報やお金を盗み取られる危険があります(フィッシング詐欺)。
- 請求内容や相手の情報を記録しておく:
- かかってきた電話番号、SMSの内容、届いた日時などをメモしておくと、後で相談する際に役立ちます。スクリーンショットを撮っておくのも良い方法です。
- 家族や信頼できる人に相談する:
- 一人で悩まず、まずは身近な人に状況を話してみましょう。冷静な目で判断してもらえる可能性があります。
なぜ、相手に連絡してはいけないのですか?
相手に連絡を取ってしまうと、あなたの電話番号が有効であること、そしてあなたが請求内容に多少なりとも関心を持っていることを相手に知らせてしまいます。すると、業者(詐欺グループ)は「この人は騙せるかもしれない」と考え、執拗に連絡してきたり、言葉巧みにお金を振り込ませようとしたりします。
また、もし連絡先が有料の電話番号だった場合、電話をかけただけで高額な通話料が発生するケースもあります。
どうしても不安な時は、専門の相談窓口に相談しましょう
「連絡してはいけないのは分かったけど、やっぱり不安だ」「どうにかしてこの状況を解決したい」そうお考えになるのは自然なことです。そんな時は、一人で抱え込まず、公的な相談窓口を頼りましょう。
専門の相談窓口では、あなたの状況を丁寧に聞き取り、具体的なアドバイスや解決のための手助けをしてくれます。専門家が間に入ることで、詐欺業者が諦めることも多いのです。
どこに相談すれば良いのでしょうか?
消費者トラブルに関する代表的な相談窓口はいくつかあります。ご自身の状況に合わせて、適切な窓口を選びましょう。
1. 消費生活センター
- どんなところ? 消費者と事業者との間のトラブルに関する相談を受け付け、解決のためのアドバイスやあっせん(話し合いの仲介)を行ってくれる機関です。全国にあります。
- どんな相談ができる? 架空請求、定期購入トラブル、訪問販売での困りごとなど、様々な消費者トラブルについて相談できます。
- どうやって相談する?
- まずは、お住まいの地域の消費生活センターに電話で相談するのが一般的です。
- 電話番号: 全国共通の電話番号 「188(いやや!)」 にかけると、最寄りの消費生活センターに繋がります。(一部地域を除く。繋がらない場合は地域の消費者ホットラインに直接かけるか、国民生活センターのウェブサイトで地域のセンターを探してください。)
- 受付時間: センターによって異なります。平日の日中に開いていることが多いですが、土日や夜間に相談できるセンターもあります。188にかけた際に音声ガイダンスで案内されます。
- 相談する前に準備しておくと良いこと:
- 請求があった電話番号、SMSの内容(可能であれば画面の表示をそのままメモするか、スクリーンショットを撮っておく)、いつ頃連絡があったかなどの経緯。
- 相手の事業者名や連絡先(分かれば)。
- これまでの対応状況(もし連絡を取ってしまった場合など)。
- 契約書や送られてきた書類があれば手元に用意しておくと良いでしょう。
2. 警察
- どんなところ? 犯罪の捜査や被害の防止などを行う機関です。
- どんな相談ができる? 架空請求詐欺は犯罪ですので、被害に遭ってしまった場合や、詐欺の可能性が高いと判断した場合に相談できます。金銭的な被害が出ていなくても、手口の情報提供として相談することも可能です。
- どうやって相談する?
- 最寄りの警察署の生活安全課やサイバー犯罪相談窓口に電話で相談するのが一般的です。
- 警察総合相談電話番号 「#9110(シャープきゅういちいちまる)」 もあります。(これは全国共通ですが、各都道府県警察の相談窓口につながるため、緊急性のない相談に限られます。事件に発展しそうな場合は110番を。)
- 相談する前に準備しておくと良いこと:
- 架空請求に関する全ての記録(電話番号、SMSの内容、日時、相手とのやり取りの録音・メモなど)。
- 金銭的な被害に遭った場合は、振込先の口座情報など。
3. 法テラス(日本司法支援センター)
- どんなところ? 法的なトラブルを抱えた方が、どこに相談すれば良いか分からない場合に情報提供を行ったり、経済的に余裕がない場合に無料の法律相談や弁護士・司法書士費用の立替えを行ったりする機関です。
- どんな相談ができる? 消費者トラブルだけでなく、様々な法的な問題について相談できます。消費生活センターや警察に相談した上で、法的な対応が必要になった場合に法テラスを通じて弁護士や司法書士を紹介してもらう、といった利用方法があります。
- どうやって相談する?
- まずは電話で問い合わせるのが一般的です。
- 電話番号: 0570-078374 (全国共通ナビダイヤル)
- 受付時間: 平日 9:00~21:00、土曜日 9:00~17:00 (年末年始を除く)
- 相談する前に準備しておくと良いこと:
- トラブルの概要をまとめたメモ。
- 消費生活センターや警察への相談状況(もし相談していれば)。
- 収入や資産に関する情報(無料相談や費用の立替えを希望する場合)。
まずは消費生活センターへの相談から始めてみるのがおすすめです。 消費者トラブル解決の専門家が対応してくれるため、状況の整理や適切な次のステップについて具体的なアドバイスが得られます。
専門機関への相談は敷居が高く感じるかもしれませんが…
「相談するのが恥ずかしい」「うまく説明できるか不安」「怒られたりしないか」など、専門機関に相談することにためらいを感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、安心してください。これらの相談窓口は、困っている消費者を助けるためにあります。あなたの話を丁寧に聞き、決して責めることはありません。
「こんなことでも相談していいのだろうか」と迷う必要はありません。少しでも不安を感じたら、まずは電話をかけてみましょう。「こういう電話(SMS)が来たのですが、どうしたらいいですか?」と、率直に状況を伝えれば大丈夫です。
架空請求詐欺に引っかからないための注意点
- 身に覚えのない請求は無視するのが鉄則です。 慌てて相手に連絡することは最も危険な行為です。
- SMSやメールに記載されたリンクは安易にクリックしないでください。 公式サイトのように見えても偽サイトの可能性があります。
- 「今日中に振り込めば割引」「今すぐ連絡しないと大変なことになる」といった言葉に騙されないでください。 相手はあなたの冷静な判断を失わせようとしています。
- 個人情報(氏名、住所、生年月日、銀行口座番号など)を安易に教えないでください。
- 「お金を支払ってしまえば終わりになるだろう」と思わないでください。 一度支払ってしまうと、「この人は騙せる」と思われ、さらに別の名目で請求が来るケースが多いです。
- 日頃から、登録した覚えのないサービスからの連絡には注意しましょう。
最後に
突然の怪しい電話やSMSに戸惑い、不安を感じるのは当然のことです。しかし、そこで立ち止まって冷静に考えることが、被害を防ぐ第一歩となります。そして、もし不安が拭えない場合は、一人で抱え込まず、今回ご紹介したような公的な相談窓口に遠慮なく頼ってください。
あなたの抱える不安を解消し、トラブルを解決するために、専門家が必ず力になってくれます。