【サポート詐欺】「ウイルスに感染しました」警告画面が出たら?だまされない対処法と相談先
突然の警告画面にご不安を感じていませんか
インターネットを見ている時や、パソコンを使っている最中に、突然画面いっぱいに「あなたのパソコンはウイルスに感染しました」「すぐにこの番号に電話してください」といった警告が表示されて、驚いた経験はありませんか。大きな音で警告音が鳴り響くこともあります。
このような画面を見ると、ご自身のパソコンが本当に危険な状態になったのではないかと、不安になるのは当然のことです。しかし、この警告表示は、多くの場合、悪質な業者があなたをだまそうとする「サポート詐欺」と呼ばれる手口です。
今回は、このサポート詐欺の手口を知り、もし遭遇してしまった場合にどのように対処すれば良いのか、そしてどこに相談すれば良いのかについて、分かりやすくお伝えします。
サポート詐欺の典型的な手口
サポート詐欺は、あなたの不安をあおり、冷静な判断力を失わせることで、お金をだまし取ろうとします。主な手口は以下の通りです。
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偽の警告画面の表示: ウェブサイトを見ている時に、突然、本物のように見える警告画面がポップアップで表示されます。「Microsoft」「Apple」といった有名な会社のロゴを使ったり、「セキュリティの脅威が検出されました」「個人情報が流出する危険があります」といった不安をあおるメッセージを表示したりします。 同時に、大きな警告音を鳴らすこともあり、利用者は一層パニックになりやすくなります。
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電話番号への誘導: 警告画面には、「すぐにサポートセンターに電話してください」「050-xxxx-xxxxに連絡」などと、電話番号が大きく表示されています。これは、業者に直接連絡させ、詐欺へと誘導するためのものです。表示されている電話番号は、正規の会社のサポートセンターの番号ではありません。
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電話での誘導と遠隔操作: 電話をかけると、あたかも正規のサポート担当者であるかのように名乗る人物が出ます。丁寧な言葉遣いで、あなたのパソコンの状態を聞き出し、問題を解決するためと称して、パソコンを遠隔で操作するためのソフトをインストールさせようとします。
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高額なサポート料の請求: 遠隔操作でパソコンをいじるふりをした後、「修復には〇万円かかります」「今後のサポートのために〇年契約で〇万円です」などと、高額な料金を請求してきます。クレジットカード情報やインターネットバンキングの情報を聞き出そうとしたり、コンビニで電子マネーのプリペイドカードを購入させてその番号を教えるように指示したりします。
これらの手口は巧妙で、特にパソコンの扱いに慣れていない方は、本物の警告やサポートだと信じてしまいがちです。
「ウイルスに感染しました」画面が出た時の具体的な対処法
もし、パソコン画面に突然警告が表示されても、慌てないことが最も重要です。落ち着いて、以下の手順を試してみてください。
1. 表示されている電話番号には絶対に電話しない
警告画面に表示されている電話番号は、詐欺師につながります。正規の会社が、このような形で警告を表示し、電話をかけさせることはありません。どのような状況であっても、表示されている電話番号には絶対に電話をかけないでください。
2. 警告画面を閉じる
電話をかけないことと並んで重要なのが、警告画面を閉じようとすることです。しかし、通常の方法(画面右上の「×」ボタンをクリック)では閉じられないようにされていることがよくあります。
いくつか閉じる方法があります。簡単な方法から試してみてください。
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キーボードの「Alt」キーを押しながら「F4」キーを押す: 開いている画面を閉じるための一般的な操作です。これで閉じられる場合があります。
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タスクマネージャーを使う: これは少し慣れが必要ですが、パソコンが固まってしまった場合などに有効な方法です。
- キーボードの「Ctrl」キーと「Shift」キーを押しながら、「Esc」キーを押します。
- 「タスクマネージャー」という画面が開きます。(もしかすると、最初は「簡易表示」になっているかもしれません。その場合は左下にある「詳細」をクリックしてください。)
- 「プロセス」のタブを開き、「アプリ」の一覧の中から、今見ているインターネットブラウザ(Microsoft EdgeやGoogle Chromeなど)を選んでクリックします。
- 画面右下にある「タスクの終了」ボタンをクリックします。 これで、警告画面を含むインターネットブラウザが強制的に閉じられます。
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パソコンを強制終了する: 上記の操作が難しかったり、パソコンが全く反応しなくなってしまったりした場合は、パソコンの電源ボタンを長押しして、強制的に電源を切ることも一つの方法です。ただし、作業中のデータが消えてしまう可能性があるので、最後の手段と考えてください。 電源を切り、数分待ってから再度電源を入れてみましょう。警告画面が表示されなければ一時的な表示だった可能性が高いです。再度表示される場合は、本当にウイルスに感染している可能性もゼロではありませんが、まずは落ち着いて次に紹介する相談窓口にご相談ください。
3. もし電話してしまったら、すぐに電話を切る
誤って電話をかけてしまっても、相手の指示にそのまま従わないでください。「ウイルスに感染した」と言われても、鵜呑みにせず、すぐに電話を切りましょう。相手から再度電話がかかってきても、出ないようにしてください。
4. 絶対にお金を支払わない、個人情報を教えない
電話を切る前に、もし遠隔操作や支払いを求められても、絶対に応じてはいけません。 * クレジットカード情報、銀行口座情報、インターネットバンキングのログイン情報などを教えない。 * コンビニなどで電子マネーのプリペイドカードを買って、番号を教えない。 * 銀行やATMからお金を振り込まない。
5. 支払いなど、金銭的な被害にあってしまったら、すぐに相談する
万が一、お金を支払ってしまった場合は、一刻も早く後述する相談窓口に連絡してください。早ければ早いほど、対応できる可能性があります。
不安な気持ちを抱えたままにしないでください
一人で悩んでいても、解決は難しく、かえって状況が悪化することもあります。専門機関に相談することで、適切なアドバイスを受けられ、解決の道が開けます。
どこに相談すれば良いの?
サポート詐欺を含む消費者トラブルについて、安心して相談できる窓口があります。
消費生活センター(全国共通の電話番号:188)
お住まいの地域の消費生活センターや消費生活相談窓口につながる電話番号です。電話をかけると、最寄りの消費生活相談窓口につながります。
- 役割: 消費者と事業者との間のトラブルについて、解決のためのアドバイスやあっせん(間に入って話し合いをまとめる手伝い)を行ってくれます。
- 相談できる内容: サポート詐欺だけでなく、商品やサービスに関するさまざまなトラブルについて相談できます。
- 相談方法: まずは局番なしの「188(いやや!)」に電話をかけてみてください。音声ガイダンスに従って、お住まいの地域の相談窓口につながります。
- 受付時間: 相談窓口によって異なります。平日のみの場合や、土日も受け付けている場合があります。
警察
詐欺など、犯罪の可能性が高い場合は、警察に相談することも重要です。
- 役割: 犯罪捜査や、事件に関する相談を受け付けています。
- 相談できる内容: サポート詐欺でお金をだまし取られたなど、被害にあった場合や、詐欺かどうか判断に迷う場合に相談できます。お近くの警察署の生活安全課や、サイバー犯罪相談窓口に連絡してみましょう。警察庁のウェブサイトなどにも相談窓口の情報が掲載されています。
法テラス(日本司法支援センター)
法的な支援が必要になる可能性がある場合に、情報の提供や専門家(弁護士、司法書士など)への橋渡しをしてくれる機関です。
- 役割: 法的なトラブルについて、どのような解決方法があるか、どこの専門家に相談できるかといった情報の提供や、弁護士・司法書士費用に関する援助(一定の条件があります)を行っています。
- 相談できる内容: サポート詐欺によって金銭的な被害を受けたなど、法的な問題として対応を考えたい場合に、専門家への相談先などを知ることができます。
- 相談方法: 電話や全国にある事務所で相談を受け付けています。電話番号や窓口については法テラスの公式ウェブサイトで確認できます。
- 受付時間: 平日の日中に相談を受け付けていることが多いです。
相談する前に準備しておくと良いこと
相談窓口に連絡する前に、以下の情報を整理しておくと、スムーズに相談できます。
- いつ、どのような警告画面が表示されたか: 日時、表示された内容(可能であれば画面を写真に撮っておく)、警告音の有無など。
- 表示されていた電話番号: 控えておいてください。
- 業者と電話で話した場合: いつ電話したか、相手の名前(名乗った場合)、話した内容(どのような指示をされたか、遠隔操作されたかなど)。
- 支払ってしまった場合: 支払った日時、金額、支払い方法(クレジットカード、コンビニでのプリペイドカード購入、銀行振込など)、相手に伝えた情報(クレジットカード番号、プリペイドカードの番号など)。
- 業者とのやり取りの記録: メールやチャットなどのやり取りがあれば、保存しておいてください。
これらの情報がすべて揃っていなくても大丈夫です。覚えている範囲で構いませんので、落ち着いて整理してみてください。
サポート詐欺にあわないための予防策
- 警告画面は信じない: 突然表示される警告画面は、偽物である可能性が高いと考えましょう。慌てて表示された電話番号には絶対に電話しないことが鉄則です。
- 怪しいポップアップや広告はクリックしない: 不審なウェブサイトや広告から、偽の警告画面が表示されることがあります。
- OSやソフトウェアを常に最新の状態に保つ: パソコンのOS(WindowsやmacOSなど)や、利用しているソフト(インターネットブラウザなど)は、常に最新の状態に更新しておきましょう。セキュリティが強化されます。
- 信頼できるセキュリティソフトを利用する: ウイルス対策ソフトなどを導入し、常に有効にしておきましょう。ただし、セキュリティソフトが入っていても警告画面が表示されることはあります。
- 困ったら自分で判断せず、公的機関や信頼できる家族に相談する: 不安な時こそ、一人で抱え込まず、専門家や信頼できる人に相談してください。
まとめ
パソコン画面に突然「ウイルスに感染しました」といった警告が表示されるのは、多くの場合、サポート詐欺という悪質な手口です。慌てて表示された電話番号に連絡したり、指示されるがままにお金を支払ったりしないことが最も重要です。
もしこのような画面に遭遇したり、不安になったりした場合は、今回ご紹介した消費生活センター(電話番号:188)や警察などの信頼できる相談窓口に、ためらわずにご相談ください。きっと解決の糸口が見つかるはずです。
一人で抱え込まず、勇気を出して相談の一歩を踏み出しましょう。